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売主は「いくらで売却できるか」が一番の関心事と思います。売主はもちろん高値での売却を望まれますが、まずは実際の物件価値を冷静に判断しなくてはなり ません。それには相場を知ることが大切です。マンハッタンのコンドミニアムやコーポの場合、広さ、眺望、日当り、アパート内部の装飾などの条件が似てい て、できれば6ヶ月以内のコンドミニアム、コーポの取引事例(COMPARABLE SALES RECORDS)を知る必要性があります。古本不動産では、日々の取引事例、毎月の集約レポート、毎年のデータから即座に相場をお調べいたします。もちろ んご相談は無料ですのでお気軽にご連絡ください。
不動産市場が供給過多・需要不足 のいわゆる買手市場(BUYER’S MARKET)の場合、もしくは市場取引が頻繁ではない場合、売主にとって専任ブローカー(EXCLUSIVE BROKER/AGENT)なしで、売却するのは容易なことではありません。売却のタイミングを逃さないように、売却することを決断されたら、できるだけ 早く売主の利益のために働く専任ブローカーと専任契約(EXCLUSIVE AGREEMENT)をします。営業担当者は、売主の専任代行者として、物件案内のダイレクトメールを送る、協力ブローカー(COBROKER)に 知らせる、お部屋を案内する、交渉する、弁護士を雇って契約する、最終決裁とお引き渡しに立ち会うなど、一連の 手続きをいたします。
専任契約(EXCLUSIVE AGREEMENT)の内容について
専任依頼される場合のご契約内容は下記のとおりです。
古本不動産では売値に対して6%の手数料(BROKER FEE)をいただいております。契約内容は売主の希望売却期間、その他の状況によって変わってきますので、専任ブローカーが売主のご希望を伺った上でご契約させていただきます。
物件を少しでも高値で、できるだけ早く売却するには、売り出す前にある程度のペイントやクリーニングをすることをお勧めします。過去にこの費用を惜しんだ がために何ヶ月も売却できず、少しの手直しですぐに売却できたことがあります。特別に高額の費用をかけてリフォームする必要はありませんが、物件の第一印 象をよくするように心掛けてください。
売り出してから1ヶ月くらいで市場動向を見ます。問い合わせの数、見学者の反応などを通して、必要であれば価格の見直し、物件の手直し、案内条件の改善 (住んでいる賃借人がいる場合)などをします。市場は常に動いていますので、その時々に応じて、迅速に柔軟に対応していくことが大切です。
新築売出し物件の場合は、買い手が購買意欲が湧くように、モデルルームを作ってアピールします。
中古物件の場合、リフォームとは別にモデルルーム同様のインテリア専門のホームステージアという専門業者がいます。ホームステージすることにより、より売り易くする市場価格以上の値を期待できるという効果が得られます。
買主側の意思表示(OFFER)があれば、営業担当者を通して交渉を始めます。売主は買主側の意思表示を検討した上で、承認する(OFFER ACCEPTANCE)、または売主側の意思表示(COUNTER OFFER)をします。
売主はできるだけ高く売却したいものですし、買主はできるだけ安く購入したいものです。物件の価格は様々な事情を考慮した上で、お互いが折り合った接点になります。それぞれの営業担当者が間に入ることによって感情的にならずに交渉できます。
売主にとって、現金購入していただける場合は心配ありませんが、買主がローン購入する場合でもリスク回避する方法があります。それはローン特約 (MORTGAGE CONTINGENCY CLAUSE)を放棄(WAIVE)させることで、もし買主がローン否認された場合には、売主が10%の手付金を没収できるというものです。 MORTGAGE CONTINGENCY CLAUSEが契約書に入っている場合は、ローン購入する買主を守るための条項ですので、ローン否認された場合には10%の手付金を買主に返して、契約を 白紙撤回します。ローン審査には時間がかかりますので、否認される可能性を考えると売主にはリスクがあります。買主がMORTGAGE CONTINGENCY CLAUSEを要求した場合、売主の営業担当者は、買主の家族構成、職業、収入、資産、負債、税申告などを把握し、できるだけリスク回避できる方法を考案 します。
弁護士を雇う場合は信頼できる弁護士を選ぶことが大切です。弁護士によって弁護士費用は様々ですので、依頼する前に確認しましょう。不動産の場合、契約か ら最終決裁と引き渡し(CLOSING)までの内容で1件ごとの相談費用が決まっています。相談時間で費用がかかる弁護士は避けたほうが賢明でしょう。弁 護士といってもその専門によって多岐に分かれていますので、不動産専門でかつニューヨークの不動産を扱い慣れており、できれば外国人購入者の経験がある弁 護士が適しています。また、大きな弁護士事務所は、仕事を請け負う弁護士と実際の業務をする弁護士が異なることがありますので気をつけましょう。もし弁護 士に心当たりがない場合は、私たち古本不動産が経験豊富でしかも信頼できる弁護士を推薦することができます。営業担当者にお気軽にご相談ください。
売主が非居住者の外国人の場合、FIRPTAという法律が適用され、売主は売値の10%を連邦源泉税として最終決裁と引き渡し(CLOSING)の際、 IRSに納税させられます。(買主が自己使用目的で30万ドル未満の場合は適用外)この趣旨は、売主が国外に売り逃げして譲渡益税が未納になることを防ぐ ためです。売主は10%を予め納税することにより、最終決済の翌年の譲渡益税を確定申告し、10%以内であれば差額を還付してもらい、10%以上であれば 追加納税するという仕組みになっています。ただし売却による譲渡益が明らかに発生しないと判っている場合には、引き渡しの前にIRSに申告し、非適用の証 明(CERTIFICATE OF EXEMPTION)を発行してもらえば、10%を納税しないで済みます。 以上は連邦税ですが、ニューヨーク州税として別途会計上の譲渡益額に対し、 7.7% が発生し、予納しなければなりません。
最終決裁と引き渡し(CLOSING)の前に、買主側の弁護士がタイトルカンパニーへ調査を依頼します。購入物件の所有者名義の確認、所有者が所得税を滞 納していないかどうか、裁判所から差押命令が出ていないかどうか、当該物件の固定資産税(PROPERTY TAX)が払われているかどうか、その他 抵当権などが付いていないかどうかを権利関係の瑕疵をすべて解消する目的でタイトルカンパニーが調査報告します。
ご本人が最終決裁と引き渡し(CLOSING)に立ち会うことができない場合や契約書にサインすることができない場合、委任状(POWER OF ATTORNEY)が役立ちます。委任状は信頼できる人、または依頼している弁護士へ与えます。委任状の有無によって、弁護士費用が変わることはありませ ん。ニューヨークで委任状を執行するときは、公証人(PUBLIC NOTARY)のサインが必要です。また、日本では米国領事館の公証が必要です。
売買契約が終わり、マンション自治会(BOARD)の承認が必要です。どのコンドミニアム、コーポもそれぞれ自治会がありま す。コンドミニアムでは、あまりにも格安の値段で売り出されると、その値段が相場と見なされ、他のアパートも連鎖的に値崩れを起こしていく可能性がありま す。故に取引が相場とかけ離れて格安の場合、自治会が買い上げ転売する権利を保有しています(FIRST REFUSAL RIGHT)。自治会の承認の ポイントは、売買価格が相場を反映しているか、買主が管理費(COMMON CHARGE)を怠りなく支払う能力を有しているかどうかになります。自治会 の承認が降りれば、管理会社が引き渡ししても良いという承認書(WAIVER)と管理費領収書(COMMON CHARGE LETTER)を発行します。
一般的に「物件を見たままの状態(“AS IS”)」の引き渡しですが、買主がそれ以上を要求しているかどうか確認をする必要があります。“AS IS”の状態とは、見たままの状態で、しかも正常に作動していること (WORKING CONDITION)を暗黙の了解としていますので、もし正常に作動していないものを“AS IS”として売却するのであれば、売主はきちんと買主に伝える義務があります。
買主が引き渡しの当日もしくは前日、物件の状態を点検します。主な確認箇所は、水道、電気、冷暖房の3点と家電器具(APPLIANCE)が正常に機能しているかどうかです。
買主は売主に残金を支払い、引き換えに売主は買主に譲渡証書(DEED)と鍵を渡します。この行為には売主、買主、それぞれの弁護士、タイトルカンパ ニー、モーゲージカンパニーあるいはその弁護士、不動産会社の営業担当者が立ち会います。残金は銀行証明小切手(CERTIFIED CHECKまたは CASHER’S CHECK)を用意します。譲渡証書とモーゲージは管轄登記所に登記され、公開閲覧(PUBLIC RECORD)できるシステムにな ります。引き渡しが終わったら、弁護士より、支払明細書、譲渡証書、モーゲージなどの書類が買主に渡されます。